相続情報

【相続情報】⑯相続における換価分割の仕組みと注意点

2026.10.05

換価分割とは、相続した不動産を売却し、その売却代金を相続人で分ける方法をいいます。

相続財産の大部分が不動産で占められている場合、不動産をそのまま分けることは難しいケースが少なくありません。そうした場合に、一度売却して現金化することで、比較的公平に分配しやすくなるため、実務でもよく利用される方法です。

また、

・相続人の誰も不動産を利用する予定がない場合
・特定の相続人が不動産を取得して代償金を支払うことが難しい場合
・共有名義による将来的なトラブルを避けたい場合

などにも、換価分割が選択されることがあります。

■換価分割の主なメリット

① 公平に分割しやすい
不動産を現金化することで、相続人それぞれに応じた割合で分配しやすくなります。

現物分割のように「不動産ごとの価値差」が問題になりにくく、共有状態を避けやすい点も特徴です。

② 相続税の納税資金を確保しやすい
相続税が発生する場合、不動産しか財産がないと納税資金に困るケースがあります。

換価分割によって現金を確保できれば、納税資金を準備しやすくなるメリットがあります。

③ 維持管理の負担を減らせる
不動産を所有している限り、固定資産税や修繕費、管理費などの負担が継続します。

空き家の管理問題なども含め、売却によって将来的な維持管理の負担を軽減できる場合があります。

■換価分割の注意点・デメリット

① 売却まで時間がかかる場合がある
不動産はすぐに買い手が見つかるとは限らず、地域や市場状況によっては売却まで長期間かかることもあります。

② 希望条件で売却できない可能性がある
相続税の申告・納税期限は、原則として相続開始を知った日の翌日から10か月以内です。

期限内に現金化を急ぐ必要がある場合、市場価格より低い金額で売却せざるを得ないケースもあります。

③ 税金や諸費用が発生する
不動産売却時には、不動産会社への仲介手数料や登記費用などが発生します。

さらに、売却によって利益が出た場合には、「譲渡所得税」が課税される可能性があります。

■譲渡所得税とは

譲渡所得税とは、不動産の売却によって得た利益に対して課される税金です。

一般的には、

「売却価格 - 取得費 - 譲渡費用」

によって譲渡所得を計算します。

なお、相続した不動産について相続税を納めている場合には、一定の条件を満たすことで「取得費加算の特例」を利用できる可能性があります。

この特例を活用すると、支払った相続税の一部を取得費に加算でき、結果として譲渡所得税の負担軽減につながる場合があります。

ただし、適用には期限や対象財産など細かな要件があるため、事前確認が重要です。

■換価分割は「売却後」まで見据えた検討が必要

換価分割は、公平性を確保しやすい一方で、売却時期や税負担によって最終的な手取り額が大きく変わることがあります。

そのため、

・売却価格の見込み
・税金や諸費用
・相続税の申告期限
・不動産市場の状況

などを総合的に踏まえながら進めることが重要です。

不動産相続や換価分割に関するご相談は、ENGAGEMENT株式会社までお気軽にお問い合わせください。

※この記事は、公開時点の法令・制度に基づいて作成しています。