【相続情報】⑫遺言書を作成しておくべきケースと判断ポイント
2026.08.05
遺言書というと、「専門家に依頼して高額な費用をかけて作るもの」というイメージを持たれる方も少なくありません。
しかし、実際にはすべての方に必須というわけではなく、ご自身の家族構成や財産状況によって必要性は異なります。
遺言書は、自分の財産を誰にどのように引き継いでもらいたいかを明確にし、残された家族に意思を伝えるための重要な手段です。
内容を整理しておくことで、相続時のトラブル防止や、手続きを進めるご家族の負担軽減につながるケースもあります。
一方で、作成には一定の準備や費用が必要になるため、「どのような場合に作成しておくべきか」を知っておくことが大切です。
■遺言書の作成を検討したい主なケース
① 相続人がいない場合
法定相続人が存在しない場合、遺産の帰属先が複雑になることがあります。
遺言書がないと、財産が最終的に国庫へ帰属するケースもあるため、特定の人や団体へ財産を残したい場合には遺言が重要になります。
② 相続人同士の関係が良くない場合
兄弟姉妹や親子間の関係性によっては、相続をきっかけに対立が生じることがあります。
あらかじめ遺言で分け方を示しておくことで、争いの予防につながる場合があります。
③ 財産の配分に希望がある場合
たとえば、介護を担ってくれた子どもへ多く財産を残したい場合や、事業承継を考えて特定の相続人に事業用資産を集中させたい場合などです。
一方で、特定の相続人に財産を渡したくないという意向があるケースもあります。
ただし、配偶者や子どもなどには「遺留分」が認められているため、完全に相続を排除できない場合がある点には注意が必要です。
④ 内縁関係の配偶者がいる場合
法律上の婚姻関係にない内縁の配偶者には、原則として法定相続権がありません。
そのため、財産を残したい場合には、遺言書による対策が有効になります。
⑤ 自宅不動産が財産の中心となっている場合
預貯金よりも不動産の割合が大きい場合、分割方法によっては相続人間で調整が難しくなることがあります。
特に、同居している配偶者が住み続けられるよう配慮したい場合には、遺言書が役立つケースがあります。
⑥ 相続人の中に連絡が取れない人がいる場合
相続人に行方不明者や長年連絡を取っていない人がいる場合、遺産分割協議が円滑に進まないことがあります。
状況によっては家庭裁判所での手続きが必要になることもあります。
⑦ 特定の個人・団体へ寄付をしたい場合
お世話になった方や、福祉団体・公益法人などへ財産を遺したい場合には、遺言書による指定が必要です。
遺言がなければ、こうした希望を実現できない可能性があります。
このように、遺言書は一部の特別な方だけのものではありません。
家族構成や財産内容によっては、一般のご家庭でも重要な役割を果たします。
また、内容によっては法的な注意点や形式面の確認が必要になるため、不安がある場合には専門家へ相談しながら進める方法も有効です。
相続・遺言に関するご相談は、ENGAGEMENT株式会社までお気軽にお問い合わせください。
※この記事は、公開時点の法令・制度に基づいて作成しています。