【相続情報】⑬遺産分割協議が必要となるケースと協議書の重要性
2026.08.15
相続手続において、「相続人の人数が多すぎて話がまとまらない」というケースは少なくありません。
特に、不動産の名義変更や遺産分割を長年放置していた場合、相続関係が複雑化し、想像以上に多くの相続人が関与することがあります。
■相続人が増えてしまう主な原因
代表的なのは、相続手続を行わないまま次の世代へ相続が発生してしまうケースです。
たとえば、祖父名義の不動産を放置したまま父が亡くなり、さらに子世代へ相続が発生すると、関係者が次々に増えていきます。これは「数次相続」と呼ばれ、相続人が枝分かれするように増加する原因となります。
また、被相続人に配偶者や子どもがいない場合には、相続人の範囲が広がる点にも注意が必要です。
この場合、まず両親が相続人となり、両親がすでに亡くなっている場合には兄弟姉妹が相続人になります。さらに、その兄弟姉妹も亡くなっている場合には、甥や姪が代襲相続人として加わるため、相続関係が複雑になりやすい傾向があります。
■遺産分割協議は「全員参加」が原則
相続人が何人であっても、遺産分割協議は原則として相続人全員で行う必要があります。
一部の相続人を除外したまま協議を進めた場合、その内容は無効となる可能性があります。
そのため、協議が成立した際には、「遺産分割協議書」を作成し、通常は相続人全員が署名・押印を行います。実務上は、実印による押印と印鑑証明書の提出を求められるケースが一般的です。
■相続人が多い場合に実務で行われる対応
① 戸籍等による相続人調査
長年連絡を取っていない相続人がいる場合でも、戸籍や戸籍の附票などを取得することで、現在の住所を調査できる場合があります。
もっとも、突然書類を送って署名・押印を求めるのではなく、まずは事情説明の手紙を送り、丁寧に協力をお願いすることが重要です。
② 「遺産分割協議証明書」の活用
相続人が多い案件では、「遺産分割協議証明書」を利用する方法もあります。
これは、1通の協議書を全員で回覧するのではなく、相続人ごとに個別の書面を作成し、それぞれが合意内容を証明する形式です。
全員分を並行して進めやすいため、郵送事故や書類紛失のリスク軽減、手続期間の短縮につながることがあります。
■相続手続を放置するリスク
相続を放置すると、さらに次の相続が発生し、関係者が増加して手続がより困難になります。
特に不動産については、2024年から相続登記が義務化されており、正当な理由なく期限内に登記を行わない場合には、過料の対象となる可能性があります。
また、無理に話をまとめようとして対立が深刻化すると、家庭裁判所での遺産分割調停や審判へ進むケースもあります。そうなると、時間面・費用面ともに大きな負担となる可能性があります。
■早めの相談が重要
相続人が多い案件ほど、初期対応が重要になります。
早い段階で専門家へ相談することで、
・戸籍収集による相続人調査
・相続関係図の作成
・相続人への連絡対応
・遺産分割協議書等の作成
・認知症や行方不明者がいる場合の法的対応
などを一括して進めることが可能になります。
相続は時間が経つほど複雑化しやすいため、できるだけ早めに対応を開始することが大切です。
相続・遺産分割に関するご相談は、ENGAGEMENT株式会社までお気軽にお問い合わせください。
※この記事は、公開時点の法令・制度に基づいて作成しています。